障害科学研究
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宮崎県の特別支援学校における聾重複障害児の在籍状況と児童生徒の実態
-学級担任等への聞き取り調査を通して-
木村 素子
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2019 年 43 巻 1 号 p. 59-72

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抄録

本研究は、宮崎県の特別支援学校に在籍する聾重複障害児の在籍状況とその児童生徒の実態について、聞き取り調査を通して明らかにしたものである。宮崎県では、特別支援学校全在籍者の3.15%が聾重複児であり、その70%が知的障害特別支援学校や知的併置校に在籍していた。聴覚特別支援学校の在籍児では、重度・高度難聴の者が多く補聴機器を装用しており、知的障害の程度は軽度の者が比較的多かった。一方、知的障害特別支援学校や知的併置校の在籍児では、知的障害の程度の重い者が多く、難聴の程度は中等度・軽度の者が多かったが、知的障害特別支援学校に限れば60%が重度・高度難聴の者であり、手話や絵カード等の視覚的支援が常時必要と思われる児童生徒であった。知的障害の特別支援学校では、その教職員の専門性、学級編制、授業形態等から、重度・高度難聴の聾重複児に十分なコミュニケーション環境が保障されにくいことが示唆された。

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