2019 年 43 巻 1 号 p. 73-85
本研究は、弱視児童のための通級による指導担当教員を対象とし、通常の小学校で学ぶ弱視児童の図画工作における刃物の使用の困難さと指導の工夫について明らかにすることを目的とした。その結果、刃物の使用における困難としてはさみで4カテゴリー、カッターナイフで5カテゴリー、彫刻刀で3カテゴリー、のこぎりで3カテゴリー、電動糸のこぎりで5カテゴリー、刃物の使用における指導の工夫についてはさみで5カテゴリー、カッターナイフで4カテゴリー、彫刻刀で4カテゴリー、のこぎりで6カテゴリー、電動糸のこぎりで7カテゴリーが得られた。1つの項目に対して6名の教員から共通してあげられたものは多い項目で4件、ほとんどが1件であったことから、弱視児童の刃物の使用の困難や指導の工夫は個々に対応することが重要である。また、個の項目で共通するカテゴリーがみられたことは個に応じた困難を把握し指導の工夫を行う視点として重要である。