2021 年 45 巻 1 号 p. 285-298
本実践では、弱視児1名を対象に、作業を伴う遠方視/近見視と、作業を伴わない遠方視/近見視の課題を設けた上で、各視覚補助具 (単眼鏡、拡大鏡、タブレット) の活用を要する一連の指導を、各視覚補助具の特徴やそれらの使い分けを理解させる目的で実施した。各課題で用いた視覚補助具の効率や、指導時のやりとりを通して、対象児が、単眼鏡や拡大鏡は、迅速性に優れ、作業を伴わない遠方視/近見視に適している点、タブレットは、画像を保存できるため、作業を伴う遠方視/近見視に適している点を理解し、それを踏まえた使い分けができるようになった。この教育効果は、半年後のリフレクションでも継続・汎化が確認できた。弱視児に視覚補助具の使い分けを指導する場合には、具体的な活用場面を設け、視覚補助具の効率を比較し、フィードバックしながら、各視覚補助具の特徴を理解させること、その上で、その特徴を踏まえた主体的な活用を促すことの重要性が示唆された。