障害科学研究
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実践報告
ダウン症児一例への濁音ひらがな表記に関する視覚法と聴覚法を組み合わせた読み書き指導の有効性
小林 千紗三盃 亜美渡部 敬真佐伯 由衣大渕 周平
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2021 年 45 巻 1 号 p. 299-314

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抄録

 本研究では、ダウン症女児1名を対象に読み書き習得に関与する認知能力とひらがなの読み書き習得度を評価し、学校と家庭場面において、濁音のひらがな読み書き指導を行い、その指導効果を検討した。本児は、音韻能力に加えて、視覚認知力と言語性の聴覚的記憶力に弱さがあった。これらの弱い認知能力を補うために、視覚呈示された文字と濁点を見ながら文字構成を言語化したフレーズを唱えて覚えるという、視覚法と聴覚法を組み合わせた指導を行った。その結果、学校で練習した字に対して、練習直後と1か月後の評価で、読み書き成績が上昇し、読みの正確性は6か月後まで維持された。本研究で行ったひらがなの読み書き指導は有効であったと思われる。

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