2021 年 45 巻 1 号 p. 77-89
本研究では、我が国の聴覚障害教育におけるコミュニケーション手段の全国調査と手話の活用に関する研究を概観し、手話の活用に関する研究の意義と今後の課題について文献的に考察した。その結果、教育の場において手話は中学部・高等部では1990年代、幼稚部・小学部では2000年代以降活用され始め、現在では多様なコミュニケーション手段の1つとして重要な役割を果たしていることが示された。また、手話の活用に関する研究では、幼稚部や小学部の授業、教科では国語科を対象とした実践報告が多いことが明らかとなった。これらのことから、聴覚障害教育における手話の活用、特に、中学部以降のより多くの教科における手話の活用による効果や課題についての研究の蓄積の必要性が示唆された。