2022 年 46 巻 1 号 p. 213-224
幼児期の認知教育の現状と今後の課題について検討することを目的に、幼児の認知能力のアセスメントおよび認知教育プログラムを扱った先行研究をレビューした。その結果、認知能力のアセスメントには、標準化された心理検査、特定の認知機能の測定に焦点を当てた実験課題、質問紙が利用されており、これらを組み合わせて実施することで、対象児への負担を最小限にした上で、より正確に対象児の実態を評価できる可能性が考えられた。また、認知教育プログラムは、課題を行う上で他者とのやりとりを通して課題への理解を深めることを重視するものが多いことが特徴として挙げられた。さらに、介入によって認知能力の向上は概ね認められている一方で、就学後の学習への影響については十分に認められていない先行研究が複数見られた。今後の課題としては、より簡便かつ信頼性・妥当性の高いアセスメント方法の検討、プログラムの介入効果の検証の必要性が考えられた。