本稿では、これまで開発されてきたダイナミック・アセスメント(Dynamic Assessment; 以下,DA)の主要なアプローチを整理した上で、特別支援教育におけるDAに関する国外の研究を概観し、今後の研究を展望した。DAは検査者と被検査者間の相互作用のタイプによって、相互作用主義と介入主義に分類される。またDAで用いられる課題は、その性質によって領域固有性と領域一般性の課題に大別される。知的障害や発達障害児者を対象とし領域一般性の課題を扱ったDAにおいては、相互作用主義のアプローチが多く、ほとんどが実験的な研究であった。今後は、DAの信頼性と妥当性の確立を前提にしながらも、教育現場における事例的な研究によってDA が本来目指すべき指導と評価の一体化に立ち戻り、アセスメントの結果と実際の指導とを結び付けることを第一義的な目的に据えた研究が求められる。
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