近年,ストレス解消法としてアロマテラピーが注目を集めている。本研究では,精油の「香り」が心身に及ぼす影響と効果を自律神経系評価指標[ 唾液アミラーゼ値(AMY)と心電図R‒R間隔変動係数] と免疫系評価指標[ 免疫細胞(CD4細胞%,CD8細胞%およびNK細胞%)とNK細胞膜上CD56抗原密度(NK細胞GMFI)] の変動から解析した。短期のラベンダー精油とグレープフルーツ精油吸入(20分間)は,特にNK細胞%,CD4細胞%の増減やNK細胞GMFIに影響を与えたが,この反応性は個人差が大きいことが明らかとなった。一方,長期ラベンダー精油吸入(7日間)は,AMYを有意に低下,CD4細胞%を有意に上昇させ,さらにその他の免疫細胞への作用もあり,リラックス効果の可能性が示唆された。また,計算ストレス負荷はCVRR,NK細胞%,CD8細胞%,NK細胞GMFIを有意に上昇させ,さらにAMYの低下とCD4細胞%の有意な低下を導いたことより,適度な交感神経の活性化状態が考えられたが,ストレス負荷後の各精油吸入におけるNK細胞%の変動パターンやその他の評価指標から各精油の影響・効果にも個人差が認められた。
以上のことから,精油による「香り」の効果には,個人差があるが,特にNK細胞%とNK細胞GMFIおよびCD4細胞%を評価指標として用いることが可能であると考えられた。また,ラベンダー精油の「香り」にはリラックス効果があり,特に長期間の「就寝前の断続的な,弱い香り」が免疫状態を徐々に高める可能性が示唆された。