2016 年 17 巻 1 号 p. 8-18
本研究では,「香り文化」を,「主に快適性の増進を目的とした,室内における香りの活用全般に関する文化」と定義し,明治期から2000年までの経済状況や生活環境の変化のなかで「香り文化」がたどった変遷を探り,日本の社会におけるアロマテラピーの受容と展開にどのような背景があったのかを明らかにした。この第2報では,1980年代から2000年の新聞・雑誌記事を対象に「香り文化」に関する言語表現を調査し分析を行った。アロマテラピーの受容と展開の背景となった,ほかの「香り文化」の社会のなかでのあり方や1990年代の「心のケア」を求める世相,教育,出版,企業のマーケティングなどにかかわる言語表現の変化を把握し,「香り文化」におけるアロマテラピーの新規性や意義を考察した。