アジア民族造形学会誌
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良寛の「賦」に託された慈愛の響き
-意識と意図の自由
松木 貴子
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2025 年 21 巻 01 号 p. 34-44

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抄録
<研究ノート> 本研究ノートは、江戸時代後期の禅僧・良寛の「賦」に込められた「慈愛の響き」と現代的意義を考察する。良寛の慈愛は、彼が生涯信奉した『法華経』精神と、その教えを漢文で凝縮した独自の「法華讃」に根差す。漢文における高度な思想表現に適した[ 賦] は、「閑居賦」等で自然への慈愛と万物平等思想を詳述。「無欲」の漢詩は、清貧な生き様が慈愛の基盤を示す。和歌では「毬つき」「カタクリ」「散る桜」を通し、日常の無常観や純粋な意識を表現した。良寛の詩歌は、「無我の意識とあるがままの受容」を基盤とし、「普遍的慈悲の実践と内なる真理への忠実さ」を意図する精神活動の結晶である。これは、「意識と意図の自由」として、読者に世俗的執着からの解放と内面幸福を訴える。特に、「天上大風」の逸話は、その自由な精神の究極の体現であり、現代社会が抱える心の閉塞感に対し、普遍的癒しと解放の可能性を提示している。良寛の精神は、今もなお深い示唆を与え続ける。
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2025 アジア民族造形学会
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