アジア民族造形学会誌
Online ISSN : 2759-0798
Print ISSN : 2758-8564
ISSN-L : 2758-8564
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • ~パキスタンにおける第三の性共同体の交渉と実践~
    劉 高力
    2026 年22 巻 p. 3-17
    発行日: 2026/08/22
    公開日: 2026/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    <要旨> 本稿は、現代パキスタンにおけるハワージャ・サラー(Khawaja Sara)共同体とLGBTQA+ 運動との関係を民族誌的に検討するものである。近年、パキスタンでは性的少数者の権利をめぐる法整備や国際的な人権運動の拡大に伴い、ハワージャ・サラーはしばしば「トランスジェンダー」あるいは「LGBTQA+ コミュニティ」の一部として語られるようになった。しかし、ハワージャ・サラーの自己理解は、欧米を中心に形成されたLGBTQA+ のカテゴリーと必ずしも一致していない。本稿は、2011年から2025年にかけて筆者がパキスタン各地で実施した参与観察をもとに、KS 共同体がグローバルなLGBTQA+ 言説をどのように受容し、翻訳し、再解釈しているのかを分析する。特に、①ハワージャ・サラー共同体の自己理解、② LGBTQA+ 言説が共同体へ流入した経路、③その過程で生じた代表性、宗教、資源配分をめぐる交渉に注目する。
  • ~超高周波「慈愛の響き」・波動エネルギーの非熱的効果および環境容積の生理・心理的影響~
    松木 貴子
    2026 年22 巻 p. 18-27
    発行日: 2026/08/22
    公開日: 2026/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    <要約> 良寛の慈愛を量子共鳴で解明し、ミトコンドリア活性を導く新領域。 本研究の目的は、伝統的な音声波動(歌唱)と色彩波動の受容が、人間の生命エネルギーおよび心理的防衛パターンの解除に与える影響を、心身健康科学、量子生命科学、および慈愛科学の統合的視点から実証的に明示することである。特に、江戸期の禅僧・良寛が示した「慈愛の心(jiai)」に基づく空間調律の思想を現代の環境生理学として止揚し、柳田祥三博士が提唱する量子化学(密度汎関数理論:DFT)に基づいた「波動エネルギーの非熱的効果」および「ミトコンドリア電子伝達系を起点とする脳波共鳴メカニズム」を介した心身変容プロセスを検証した。さらに、パブロ・ピカソが絵画『科学と慈愛』において提示した精神、および「非視覚的光(色彩)の受容」の本質を量子受像体モデルとして結合させ、心身健康科学が目指す「心と身体、芸術と生命科学の融合」の究極的なパラダイムを構築した。 実験では、20代から80代までの成人男女32名を対象に、音声波動および色彩波動の介入セッションを異なる環境容積(東京国際フォーラム・オープンロビー、約100畳の広幅員空間、約30畳の中規模空間)において実施した。被験者はアイマスク等による遮光を行わず、歌唱中に眼を閉じるか、あるいは「量子受像体」として機能する白い衣装を注視する形でセッションに参加し、多角的に解析を行った。 その結果、すべての空間条件において、「根源的な安心感」および「生命エネルギーの活性化」が有意に上昇し、とりわけ大空間容積において個体と環境の多重共鳴(空間共鳴)が最大化することが実証された。また、「非視覚的色彩認知」の鮮明度が極めて高いスコアを示し、細胞レベルでの光量子受容の可能性が示唆された。これらの知見は、超高周波を内包する「慈愛の響き」が生体内の水分子ネットワークを配向させ、ミトコンドリアの電子移動を加速させることで、心理的防衛パターンを自律的に解除する再現性の高い機序を有していることを証明するものである。
  • ~浅山一伝流・兼相流を切り口に~
    青山 英明
    2026 年22 巻 p. 28-36
    発行日: 2026/08/22
    公開日: 2026/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    <要旨>本稿は明治期の東京における武道再編の構造と伝統文化の変容過程を可視化し、近代日本における「断絶と継承」の構図を再考したものである。古流武道とされる流派の技法の実態は、明治期にその原型が失われ、新式柔術に古流の名を仮託して伝承されていたことを確認した。また伝書に見られる禅への取り組みから、武道は明治期以前から、単なる技芸でなく精神修養を伴う文化体系であったことを再提起した。
  • 渡辺 郁夫
    2026 年22 巻 p. 37-44
    発行日: 2026/08/22
    公開日: 2026/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    <要旨>親鸞と聖徳太子信仰の関係について考察する。親鸞思想において聖徳太子信仰がもつ意味を考える際に、親鸞思想と聖徳太子信仰の両者の関係に整合性がとれないように見えることがある。それについて主として「善」の問題と、それに関係する聖徳太子像の浄土真宗寺院でのあり方の関係について考える。その場合に「善」の内容が儒教的なものか仏教的なものか、世間的なものか出世間的なものかを考える必要がある。聖徳太子が儒教と仏教、世間的な面と出世間的な面の両面をもち、親鸞が注目する仏教的な面では聖徳太子信仰と親鸞思想との間で整合性はとりやすいが、儒教的徳目に傾斜してくると整合性はとりにくくなる。また浄土真宗寺院の聖徳太子像は「孝養像」と言われるもので、それは本来親鸞が勧めた聖徳太子の像ではなく、真宗教団として期待された役目を果たしてきた像であると言えるだろう。そうなると親鸞思想との整合性はさらにとりにくくなり、教団としての聖徳太子信仰を表すものになるだろう。
  • ―広井王子にみる複合型人材育成の再現性―
    青山 英明
    2026 年22 巻 p. 45-50
    発行日: 2026/08/22
    公開日: 2026/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    <要旨>文化資源がいかに産業的に運用可能なカタチへ変換できるのか、広井王子氏の創作実践を手がかりに検討する。ここでいう文化資源とは、伝統文化に限られず、地域、家族史、食、街の記憶、歌、劇場、近代史、異文化表象、媒体記憶など、作品化以前に存在する経験の束を指す。広井氏の仕事は、これらをゲーム、舞台、声優、歌、紙面、ファン参加へドッキングさせ、複数媒体に展開可能な産業的造形へ変換してきた点に特徴がある。とりわけ『サクラ大戦』におけるキャラクター・李紅蘭の造形は、李香蘭に象徴される昭和歌謡・映画記憶、広井家の満洲・中国・向島に関わる家族史、日中国交正常化後の帰国経験を背景としながら、悲劇的な歴史をそのまま再現するのではなく、受容可能で反復可能なキャラクター属性へ加工した事例として読むことができる。以下では、文化資源の採集、媒体制約の読解、造形のコア部品としてのキャラクター設計、声・歌・舞台による身体化、紙面・イベント・受容共同体による長寿化(ロングセラー)という工程(プロセス)に分解し、複合型人材の育成の再現性を考察したい。
feedback
Top