抄録
有望な次世代炉として、超臨界圧水冷却炉(SCR)が提案されている。SCRには多くの利点があるとされるが、一方でOnce-through式ボイラを採用しているため、現行軽水炉に比べてタービン系への放射能移行量が多くなる可能性が指摘されている。放射能発生量には、腐食生成物の挙動が大きく影響する。そこで、筆者らは、亜臨界から超臨界領域の高温水中における腐食生成物の挙動を評価するため、ラマン散乱分光による酸化皮膜の形態を評価している。酸化皮膜の化学形態は、金属イオンの溶解度、あるいは配管や燃料被覆管表面への付着・剥離に関する性質を評価するために不可欠な知見である。 既に第1報としてプローブ付きラマン散乱測定装置と金属酸化物粒子の標準ラマンスペクトルの紹介を行った1)。第2報として、超臨界水ループ装置の設計、製作と、ダイヤモンドウィンドウを通してのラマン散乱測定システムについて紹介する。高温水を200℃、20 MPaの条件とし、ラマン散乱測定を行った。石英レンズの焦点はダイヤモンドウィンドウから2 mm程度の距離にあり、焦点はウィンドウには合っていないが、ウィンドウ材料であるダイヤモンドのラマンピークは極めて強く、そのラマンスペクトルが得られている。ピークは1330 cm-1付近であり、室温、大気中で測定した標準スペクトルと完全に一致することを確認した。