抄録
実用高速炉では、経済性の要求から冷却ループの大容量化とループ数削減を指向しており、熱交換器が大型化する方向である。また、冷却材に液体金属ナトリウムを使用することから信頼性の高い2重伝熱管の採用が計画されており、その結果、管溶接の不要な直管型となることから、伝熱管本数が増大する傾向にある。以上から、蒸気発生器は大型の2重直管型となり、耐圧設計との兼ね合いから大型球形管板が必要になる。従来の管板解析法は、多孔部を等価中実板に置き換えて平均的な応力を求め、それに集中係数を乗じることで孔縁のピーク応力を求めるものであった。直管型球形管板では外縁の孔周りの異方性が強いことから、従来法の評価精度が低下し、孔廻りの詳細形状を考慮した3次元解析が望まれる。本研究では、直管球形管板を対象として、最大応力発生部に着目した部分孔開モデルと大規模解析に有利な反復ソルバを用いた3次元構造解析法を開発した。