抄録
実用高速炉用の高温構造設計基準の策定作業の中で、原子炉構造を念頭に、ラチェット疲労寿命の設計条件に及ぼす影響を明らかにすべく、ラチェット疲労試験を進めている。従来知見、実設計では負荷繰返し回数が限定されていることを踏まえ、一定量の累積ひずみに到達するまでひずみを漸増させ、以後、通常の疲労試験に移行するパターンの試験を考案し、今回、累積ひずみ量を1.41%に固定して、累積ひずみに到達するまでの繰返し数をパラメータとした。試験は、316FR鋼の単軸丸棒を用い、大気中、550℃で実施した。累積ひずみは引張ひずみとして与え、疲労は軸力引張圧縮型で、ひずみ範囲0.5%で行った。試験の結果、実用高速炉の設計想定事象回数(60年寿命で640回)以上の1000回までは有意な寿命低下が認められないことを確認した。今後は、累積ひずみ量を変えた試験等を行い、破損クライテリアの検討に反映していく。