抄録
軽水炉を構成する構造機器の経年劣化事象を考慮した地震荷重下における確率論的健全性評価手法の研究の一環として,原研大洗研究所敷地に沸騰水型軽水炉(BWR)モデルプラントの再循環系配管を対象に,応力腐食割れ(SCC)と地震荷重を考慮した破損確率を評価した.本評価手法は,断層モデルによる地震ハザード解析と地震応答解析,地震荷重を考慮した確率論的破壊力学(PFM)解析で構成される.地震ハザード解析からは地震動強さ(最大加速度等)毎に年平均発生頻度が求まり,これを用いて,地震発生確率を算出する.一方,PFM解析からは,SCCを考慮した破損確率とさらに地震荷重を付加したときの破損確率が求まり,これらの差に地震発生確率を乗じて,地震による増加分の破損確率を算出する.このような手法で,モデルプラントにおける再循環系配管の1溶接線について破損確率を評価し,地震荷重と運転時間の影響を確認した.