抄録
核融合炉の燃料となるトリチウムは、6-リチウム(6Li)と中性子との核反応により生産するが、天然のリチウムには6Liが約7.6%しか存在せず、必要なトリチウム量を確保するためにはより高濃縮の6Liが必要となる。海外からの高濃縮6Li調達は近年困難であるため、イオン液体含浸有機隔膜を用いたリチウム同位体分離技術の基本原理の確認試験を行った。
イオン液体を含浸させた有機隔膜を用いた電気透析セルを用意し、両極に電圧を印加させ、6Li分離係数と電流値の関係を測定した。測定結果より、水銀アマルガム法(同位体分離係数:約1.06)を凌ぐ同位体分離係数が得られる結果が得られ、イオン液体含浸有機隔膜によるLi同位体分法は、濃縮6Li製造の実用化に向けた最有力の手法であることを確認した。