抄録
低炭素社会の実現に向けて,原子力発電がその役割を確実に果たしていく上で,発電能力の適切な管理が要求される.そこでは,新規建設と並んで,高経年化に向かう既存発電プラントを,補修を加えて寿命延伸を図るか,廃止措置をとり早期のリプレースを促進するか,経済性に劣るプラントでは適時の廃止措置をとり閉鎖するか,という複数の選択肢の見極めと,タイムリーな実施が要求される.そこで本研究では,収益性についての不確実性の想定の下に,原子力発電プラントの廃止措置と寿命延伸の投資オプションを評価する手法を考案し,経年プラントの適切なマネジメントにとって参考となる意思決定ツールを提供する.