抄録
軽水炉炉心溶融時に溶融燃料の空隙に適度な水が存在する大きなデブリ領域が形成されると再臨界が起こる可能性がある。再臨界の予防にはホウ酸水を注入する方法があるが、デブリの外側にしか存在できないため、ホウ酸水が中性子を吸収することによる再臨界予防効果は小さい。しかもホウ酸水濃度はその後の注水により薄まるため、補い続ける必要がある。そこで筆者らは溶融燃料が水面上に露出した部分から起こることに着目し、水に浮く中空ボロン粒子を事故発生直後に炉内に投入する方法を提案する。これにより溶融燃料中に多量のボロンが溶け込み、炉心溶融の進展中はもとより、その後の安定冷却期間中や溶融燃料取り出し時の再臨界の予防にも効果的である。本発表では炉心溶融時の溶融燃料の臨界度におよぼす水に浮く中空ボロン粒子の効果を示す。