抄録
3月11日に発生した未曽有の原子力災害は、福島県民を始めとして多くの国民に放射能、放射線に対する過剰ともいえる恐怖心を植え付けた。核燃料サイクル工学研究所では、10数年前のアスファルト固化施設火災爆発事故を契機に着手したリスクコミュニケーション研究の成果を生かし、地域住民の要望に応える形で、放射能、放射線に関する正しい知識の普及活動を展開してきている。この活動は現在も継続しているが、ここでは、この一年弱の実績を基に、方法論も含めてその効果について論ずるべく、本論も含めて5件のシリーズ報告を行う。なお、報告の中では、関連事項として、数年前から取り組んでいる地域の主婦層との対話の実践状況についても紹介する。