抄録
福島第一原子力発電所では、現在においても、放射性物質が原子炉容器から格納容器を経由して環境中に漏洩していると予想される。そのため、事故収束段階における放射性物質の漏洩量を評価する簡易的な手法の構築を試みた。本手法においては、熱バランス評価により求めた原子炉容器内の露出炉心や上部構造材、原子炉容器壁の温度等に基づいて、主要な放射性物質と考えられるセシウムの再蒸発量、格納容器内における濃度の減衰及び格納容器からの漏洩を評価する。本報では、評価手法の基本的な考え方を述べるとともに、福島第一原子力発電所事故への適用性について検討する。