抄録
Heイオン照射による平均500appmのHe注入と真空中650℃または750℃-1000秒間の焼鈍処理によって結晶粒界にHeバブルを形成させたSUS316ステンレス鋼について、粒界近傍のミクロ組織をTEM観察し、Heバブルの粒界被覆率を測定するとともに照射された粒界を含む超微小引張試験片(断面2×1μm, 長さ8μm)をFIB加工により作製し、FIB装置内にて室温で引張試験を実施した。650℃焼鈍材では1300MPaまで粒界に引張応力を負荷したが試験片は破断せず、750℃焼鈍材では1600MPaまで粒界に引張応力を負荷すると延性的に破断が生じた。750℃焼鈍材におけるHeバブルの粒界被覆率は平均2%であり、この程度の被覆率では結晶粒界の強度は大きく低下しないことがわかった。講演ではHe注入量を変えた試験片についての結果も報告する。