抄録
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震及びそれによって引き起こされた津波により発生した東京電力福島第一原子力発電所事故では大量の放射性核種が大気へ放出された。昨年度の報告(2012年春の年会M27)では、Terada et al. (2012) の大気放出量を用いた大気拡散シミュレーションによる沈着量と、Kawamura et al. (2011) による海洋への直接放出量を海洋へのソースとして海洋拡散シミュレーションを実施した。その結果、東部北太平洋において、計算値が観測値に対して過小評価となる傾向を示した。Terada et al. (2012) の大気放出量推定では、プルームが太平洋へ向かう期間に関しては詳細な評価をしていないため不確実性がある。そこで本研究では大気・海洋拡散シミュレーションと北太平洋海域における海洋観測による分析結果を用いた大気放出量の推定を実施した。