抄録
通常の直交ウェーブレットと同様、効率的に計算でき、しかも2 次元では方向性を持つ複素ウェーブレットが既にいくつか提案されている。本発表では筆者らの提案した複素ウェーブレットを用いてテクスチャの教師あり領域分割を行う。提案方法は各周波数や方向に含まれるパワーの比を特徴量とし、識別方法には単純なマハラノビス距離を用いた。識別方法は単純であるが、シフト依存性の弱い複素ウェーブレットを用いることで実ウェーブレットよりも安定した識別が可能となる。提案法を用いた実験では、Brodatz のテクスチャを組み合わせて作ったテスト画像に対して通常の実数ウェーブレットに比べて良好な分割結果が得られた。