糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: AL-1
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レクチャー:EBMから見た糖尿病における心血管疾患予防の重要性
久山町研究
*清原 裕
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抄録
 久山町研究は、福岡県糟屋郡久山町において長年にわたり継続中の脳卒中をはじめとする心血管病とその危険因子の疫学調査である。この研究の特筆すべきことは、対象集団である町住民の性・年齢構成および職業構成が日本の平均レベルにあって偏りが小さいこと、健診受診率が高いこと(40歳以上の人口の80%以上)、追跡率が99%以上で脱落例がほとんどいないこと、心血管病発症例を研究スタッフが往診・診察して臨床情報を収集していること、そして全死亡例の約80%を剖検して死因・臓器病変を検索していることなど、徹底した調査が行われていることである。1961年の健診受診者から設定した第1集団では、尿糖陽性者に経口糖負荷試験を行って耐糖能レベルを調べたが、1988年の第3集団以降、5年毎に40-79歳の健診受診者全員に75g経口糖負荷試験を行い、対象者の耐糖能レベルを正確に把握している。この久山町研究の徹底した調査成績は、この地域の耐糖能レベルと大血管障害をはじめとする合併症の実態を正確に反映していると考えられる。 2002年の第4集団のうち、75g糖負荷試験を受けた40-79歳の対象者2,697名をWHO基準で分類すると、糖尿病は男性22.8%、女性13.1%、IGTはそれぞれ21.4%、21.0%、IFGは14.8%、6.8%であった。つまり、男性の6割、女性の4割に何らかの耐糖能異常が存在すると考えられ、近年わが国では耐糖能異常が大幅に上昇したことがうかがえる。 本レクチャーでは、久山町研究の断面調査および追跡調査の成績を紹介し、わが国の地域住民における糖尿病(耐糖能異常)とその合併症との関係の時代的変化と現状について述べる。
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© 2005 日本糖尿病学会
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