抄録
背景と目的: 2型糖尿病のスクリーニングは心血管疾患のスクリーニングの必要不可欠な部分である。本研究では、DECODA 研究のデータベースを用いて、アジア系人種における心血管疾患の最もハイリスク群を選別し糖尿病と心血管疾患のスクリーニングのリンクについて検討する。方法: 対象はDECODA 研究に参加した5カ国5研究のアジア系人種のうち過去に心血管疾患の既往のない6,573名、平均追跡期間は6年である。Coxの比例ハザードモデルを用いて、過去に心血管疾患も糖尿病も既往がない者における心血管疾患死に関するハザード比を、観察開始時の年齢、性別、Body Mass Index、高血圧の有無、高コレステロール血症の有無、喫煙の有無、耐糖能の状態(正常、Impaired Glucose Regulation: IGR、新規糖尿病)を説明変数として5つのコホート別に解析したのちメタ解析した。メタ解析の結果をもちいて、いかなる危険因子の組み合わせが心血管疾患の最もハイリスク群を選別するのか調査した。結果: 年齢、高血圧、高コレステロール血症、新規糖尿病は過去に心血管疾患も糖尿病も既往がない者における心血管死の有意な死亡予測因子であった。すなわち、年齢が10歳上昇、高血圧、高コレステロール血症、新規糖尿病(参考群;正常耐糖能)に対応するハザード比はそれぞれ1.97 (1.69-2.30)、1.57 (1.10-2.24)、1.49(1.05-2.10)、3.42(2.23-5.23)であった。過去に心血管疾患のないもののなかでは、”高血圧もしくは高コレステロール血症を呈している新規糖尿病”が心血管死の最もハイリスクグループであり、これらは”高血圧もしくは高コレステロール血症を呈している既知糖尿病”と同程度の死亡の危険度を有していた。”高血圧も高コレステロール血症もない新規糖尿病”は”高血圧か高コレステロール血症を呈しているIGR”と同程度の死亡の危険度を有していた。結語:糖尿病に関連する心血管疾患の予防のためには、高血圧もしくは高コレステロール血症を呈している新規の糖尿病を捕捉し介入することが重要である。