糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: CS-1-1
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シンポジウム:私は療養指導士の資格をこのように活用している
療養指導士の資格導入の目的
*松岡 健平
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抄録
糖尿病療養指導士(CDE)は糖尿病とその療養指導に関する幅広い専門知識をもち、患者の生活や社会的条件を理解し、適切な自己管理ができるよう生活指導をする。一方、療養指導は、医師の治療方針に沿って日本の医療法で定められている各医療専門職の業務に則って行われるが、チームメイトとして医師の治療方針の決定をより的確にする役割を持つ。日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の検定に合格することは、糖尿病臨床における生活指導のエキスパートとして資格を認められることである。 糖尿病治療は患者の日常であり、患者には医師の治療方針や治療の実際的方法を的確に伝える必要がある。そのためには関連する専門職種がチームを組んで取り組む必要がある。このような認識がCDEを資格とした理由である。CDEの認定試験は、糖尿病教育の知識、経験、資格基準を満たしていかを評価し、専門知識を認証するものである。資格であるのに、それに見合った報酬がないが、とCDEJは免許ではなく、CDE先進国と同じようにあくまで自己研鑽を目的としている。 CDEJの認定試験が職種別ではないことを見れば、この資格は、自己の専門に限定された知識と技能は十分であるとする前提がある。まず、糖尿病という分野において、自己の職責を通して、患者の自己管理能力と知識、理解度、遵守度、その必要性の認識などを評価する。教育を通しておこるすべての結果を適切に記述し記録し、患者を含むチームのものとしなければならない。 各職種に共通する部分は、糖尿病のケアとそれに関連する教育モデルである。このような面が、すでに取得している国家試験の免許と異なる点である。CDEJは患者の心理面、社会面を配慮し、医学的な内容を患者の「心」を判断して、糖尿病自己管理の指導を段階的に進める。近年、患者自身の医療への参画が重要である、と言われている。患者の能力を開発し自己裁量によって治療方針を選択できるようにすることを、「エンパワメント」と呼び、プロセスが大事であり、教育介入や対策により得られる。患者のコンプライアンス(治療環境への適応と順守)を向上させることは、医療側の患者に対するコンプライアンスにほかならない。CDEJの資格の特徴は、医学モデルに自己の職務を通した実践的経験から、療養指導の見識を持つことを評価されることにある。
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© 2005 日本糖尿病学会
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