糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: CS-1-7
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シンポジウム:私は療養指導士の資格をこのように活用している
薬剤師の立場から - 服薬指導に服薬援助を取り入れる -
*武藤 達也
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抄録

我々薬剤師が、医療チームの一員として病棟の薬剤管理指導業務を行うようになってから10年以上経過し、「服薬指導」という言葉も社会に認知されるようになった。特に外来患者に対しては病院、調剤薬局で薬の説明書を渡したり医薬品の効能や副作用などを口頭で話したりすることはめずらしいことではない。しかし入院患者における薬剤管理業務を考えると、必ずしもこれら医薬品情報を与える「服薬指導」が患者の薬物療法の遵守につながっているとは限らず、薬剤師として職能の限界を感じることもある。特に糖尿病などの慢性疾患患者の中には、医薬品情報(服用方法、効能、副作用、使用方法)は分かっていても自己中断してしまうことがあり、薬剤管理指導業務の範囲にとらわれない指導や教育が必要になる。 当院では、医師、薬剤師、看護師、および臨床検査技師がインスリン導入患者に対して積極的に関与している。本講演では、糖尿病療養指導士として薬剤師にどの様な関わりが可能か考えてみたい。 薬剤師としては、薬の専門家として(1)インスリンについての正しい情報(安全性、注意点、内服の糖尿病薬との違い)を説明する、(2)リスクマネージメントの立場から患者の能力を評価した上で、インスリン注入器を選択し項目別に理由を付け加えながら手技手順を説明する(技術的ケア)。 糖尿病療養指導士としては、患者の動機付けとして(3)糖尿病の病態について医師と相談しながら現在のインスリン療法の必要性を説明する、(4)インスリン療法や自己注射に対する不安感や拒否感をより具体化させて解決、軽減へと行動を変化させるよう援助する(心理的ケア)。 これら(1)(2)技術的なケア(服薬指導)に(3)(4)心理的ケア(服薬援助)を取り入れることで患者は、より納得して安全かつ確実なインスリン自己注射が導入でき、理想的な糖尿病患者教育が可能になると考える。

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© 2005 日本糖尿病学会
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