抄録
日本糖尿病療養指導士認定制度は、糖尿病治療に携わる医療専門職がお互いに理解し合い、チーム医療を実践していく上できわめて有益な制度である。運動療法の指導と実践を担当する理学療法士の立場から、資格を活用した活動について述べてみたい。【職場(病院内)での活用】 認定制度により、今まで以上にそれぞれの職種の専門性を認識するとともに、病態を的確に把握し適切な療養指導を行っていくという共通の認識が持たれ、一層積極的な意見交換ができるようになった。特に、運動療法は糖尿病治療の基本療法に挙げられながら、実施率の低い現状を考えると、今後我々から運動療法の必要性を訴え、実践する環境が整ってきたといえる。石川県立中央病院での新規活動として、糖尿病療養指導専門チームの発足、多職種間協議によるクリニカルパスの作成、地域連携勉強会の実施等が挙げられる。資格の取得によって、そのチームの中に理学療法士が加わり、まずチーム内での運動療法についての正しい知識を広めることが可能となり、患者さんへの説明が円滑に行われている。また、糖尿病をもつ脳血管障害や整形外科疾患、心疾患症例に対して療養指導と理学療法を技術を生かし、運動機能回復と併せてリスク管理や2次、3次予防にも配慮した治療を進めることが可能となっている。【地域(県内)での活用】 石川県では、糖尿病専門医の積極的な働きかけがあり、2002年に糖尿病療養指導士研究会が設立された。理学療法士も運営委員に加わり研修会の企画や定期研修会の「運動療法」に関する講習会の講義を受け持つなど、医療職や患者会に対する啓発活動を行っている。また、社団法人石川県理学療法士会においても、保健福祉局保健部に「生活習慣病予防班」を設置して理学療法士自身の研修を充実するとともに社会への啓発活動を開始している。【広域(国内)での活用】 社団法人日本理学療法士協会では、専門理学療法士制度を推進しており、日本糖尿病療養指導士は内部障害系専門部会に登録している。その部会の中で、2001年より日本糖尿病療養指導士理学療法士部会を作り、インターネット回線を通じて情報交換を行ったり、学会や研修会での発表とともに糖尿病に関するセミナーの開催等の活動に取り組んでいる。