糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: CL-1
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レクチャー:糖尿病療養指導に必要な知識(1)
糖尿病の概念
*島田 朗
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キーワード: 診断基準 , 分類
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抄録

1999年に、糖尿病の診断基準と分類の見直しがなされ、以降、糖尿病の成因によってその病態を理解するようになっている。すなわち、以前のようなインスリン非依存、インスリン依存、といった臨床上のインスリンの要否による病態の捉え方ではなく、どのような成因であっても、正常血糖から境界領域、インスリン非依存状態の糖尿病領域、インスリン依存状態の糖尿病領域、と変化し得るとされたことが大きな違いである。 この「成因」分類では、1型糖尿病、2型糖尿病、その他の特定の機序・疾患によるもの、妊娠糖尿病の四つに大きく分けられているが、今後も新たに原因を特定できたものは、全て「その他の特定の機序・疾患によるもの」に分類していこうという意味がある。ただし現状では、ほとんどの糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病の中に含まれることになる。したがって、われわれが日常、1型糖尿病あるいは2型糖尿病と呼んでいる疾患は、かなり不均一な群であり、おそらくは複数の未知の成因により引き起こされている病態であることを認識する必要がある。また、実際には、1型糖尿病なのか2型糖尿病なのかすら鑑別できない「分類不能例」も存在する。 このような現状を理解し、各々の糖尿病患者の病態を正しく把握することは、糖尿病療養指導上、極めて大切である。

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© 2005 日本糖尿病学会
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