抄録
医療法42条疾病予防施設(疾病予防センター)は,医療法人が疾病予防のために有酸素運動を行わせる施設として平成4年7月から運営できるようになった.また,平成7年には,それを普及する目的で規制が緩和された.我々は,平成12年4月1日より疾病予防センターを開設し,平成14年2月からは規模を拡大し運動療法を実施している.運動施設面積は約300m2である.スタッフは,厚生労働省省令に基づき認定された,生活習慣病の予防と健康維持増進のため,医学および運動生理学の知識を有した健康運動指導士(運動指導士)である.対象者は,糖尿病,虚血性心疾患維持期患者であり動脈硬化危険因子保有者も含まれている.糖尿病の参加者は,教育入院時の開始が多い.開始時は、事前に医学的検査(生化学血液検査,合併症の検査,心臓超音波検査,運動負荷心電図検査等)を受け,担当医師に運動療法の可否を確認している.施設は,月から土曜日,9:30から16:30,火曜・木曜日は21:00まで運営している.プログラムは,個人・集団があり,集団は90分のプログラムを午前,午後,夜間に実施している.糖尿病教育入院患者は,個人プログラムで運動処方を調節している.運動種目は,ストレッチ体操,軽スポーツ,自転車エルゴメータ,トレッドミル,ニューステップ,ウエイト,ビジュアルステップ等を実施している.運動強度は,トレッドミル・自転車エルゴメータ運動負荷試験の結果を元に,心拍予備能,嫌気性代謝閾値(AT),主観的尺度を参考にしている.参加者は毎回,体重や血圧,脈拍,体調を確認し,必要な者は各自で血糖を測定している.運動指導士は,プログラムを立案し,その実施と指導,進行過程を評価,参加者の観察,時にはプログラムに参加している.参加者は,糖尿病・心疾患など有疾患者が多い為,医療機関との連携が確立している.運動指導士は専門的研修を受け,安全管理・不測事態への対応の知識を身につける.運動効果は継続することにより現れる.それには,個々の運動処方を作成し,参加者とのコミュニケーションを高め,結果をフィードバックする必要がある.糖尿病療養指導における運動指導者は多いとは言えない.今後,専門的知識を習得した運動指導士の活動を期待する.