抄録
糖尿病患者数の増加、罹病期間の長期化、合併症の進行などを背景に潰瘍や壊疽などの糖尿病足病変や重症感染症が増加してきている。糖尿病足病変は一般に難治性であり、長期入院を要したり、外科的切断にいたったりする例が多い。一旦、治癒しても再発率が高く患者のADLやQOLに多大な悪影響を及ぼす。 米国や英国の糖尿病足病変への対策としては概略すると3つのポイントにまとめられる。まず、拠点病院にフットセンターを設置し、重症足病変の集学的治療を行い救肢を図るというものである。第2のポイントは、PodiatristやPedorthistといった足や靴の専門家の職種を設けて、良質なフットケアサービスをプライマリーケアレベルで浸透させ、発症予防を行うことにある。第3のポイントとは、糖尿病神経障害が進行した患者群の予防的フットケアに医療費の給付を認めている点にある。しかしながら、これらの対策にも拘わらず欧米では糖尿病足病変による足切断が依然増加傾向を示している。 我が国では、この分野におけるインフラ整備が欧米に比して著しく遅れている。足や靴の専門職種が存在しない我が国では、現存の職種の幅広い結集による集学的な対応策を構築せざるをえない。その中でのゲートキーパー的な役割を糖尿病療養指導士が今後ますます担っていくことになると思われる。 本講演ではフットケアと感染症について療養指導する上でのポイントについて実際の症例を紹介して述べる。