糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
セッションID: DS-1-2
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シンポジウム:包括医療の中での糖尿病診療
電子化糖尿病情報の利用
*中島 直樹
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抄録
平成15年度から入院における包括評価支払い方式「DPC」が始まり、16年度には144の病院で施行され、1727分類(平成16年度)の疾病グループ別のベンチマーク評価が可能となった。糖尿病に関連した疾病グループに紐付けた様々なデータの整理と比較評価が全国規模でおこなわれる基盤が出来たわけである。この事は、糖尿病診療の標準化の促進とともに糖尿病医療経済の解析に寄与する。これは、データの収集、解析が可能な病院が優位に立つことを意味し、診療の電子化が促進される。従来の出来高支払い方式は別名「濃厚医療/青天井医療」と言われたのに対し、包括評価支払い方式には「希薄医療」の素地があり、それをカバーするために入院において最低限施行すべきプロトコル(パス)が必要となる。一方、米国でも証明されたように入院のみの包括評価支払い方式施行は、外来への医療のシフトを促進するため、特に糖尿病のような慢性疾患に対しては、入院外来間の情報連携および病診連携をトータルに管理することが重要となる。これは、かかりつけ医や専門医に通院する頻度やその診療の中身を病態別に支援する「連携パス」でカバーされうる。なお、これらのパスは、診療の標準を規定する基盤のおよび評価手段を提供するものであり、診療の個別性や柔軟性を阻害するものではない。このようなパスの効力は「紙」システムでも発揮しうるが、電子化によってはるかに増強される。包括評価支払い方式においては、従来の電子カルテに用いられている単なるテキスト情報に比し、これらのパスの電子化による整理された入力情報は、診療の評価、医療安全管理、患者サービス、経営適正化等に資するに値するデータを効率良く出すツールとなりうる。パス上の情報はオーダーシステムに連動可能であり、計画情報や実施情報は、電子カルテ(看護記録を含む)に適正に自動記述され、電子カルテの入力を正確化、効率化する。これらの仕組みをさらに広く、すなわち医療施設と糖尿病患者間のコミュニケーションにも取り入れることにより、Disease Managementと呼ばれる新たなシステムを構築することが可能となると考え、現在実証実験を施行している。米国のDPPでは、境界型糖尿病に対して生活習慣介入を行うことで糖尿病への進展が58%低下できたが、生活習慣病患者にとっては月に1-2回程度の通院のみで生活習慣を改善することは厳しく、日本においても何らかの日常的支援が必要な状況は明らかである。上記の連携パスよりも、さらに日常的に用いるべき、「診療情報提供」による病診連携に際しても、単なるテキスト情報では、データベース化や情報の再利用は困難である。そのため、昨年度から糖尿病診療連携のためのミニマムデータ項目セットを提唱してきた。静岡県が浜松医科大学を中心に県版電子カルテを開発しているが、その中で用いる診療情報提供書に糖尿病症例紹介目的で「糖尿病診療連携のためのミニマムデータ項目セット」を実装する予定であるので、是非早期に日本糖尿病学会によるその項目整備を行っていただきたいと考える。これが整備されると、静岡県版電子カルテにとどまらず、今後開発される診療所向け、病院向けの電子カルテから自動的に出力される糖尿病用紹介状上の項目が標準化され、データベース化、情報の解析が容易となる。なお、連携パス、診療情報提供書ともに複数の医療施設間をまたぐ情報の流通であるため、その電子化に際しては、標準的情報交換規格であるHL7を用いて開発する必要がある。
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© 2005 日本糖尿病学会
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