抄録
クリティカルパス(パス)は、多数の工程に分割した作業を管理する工程管理法から発生した概念で、工程を分析し製造工程の最適化をはかり、作業終了までの最短をみいだす方法である。ここ数年、包括化など日本の医療を取り巻く環境は急速に変化し、糖尿病治療・指導も例外ではない。医療機関は生き残りをかけてこれまで以上の経営努力を要求されるとともに、患者の医療の質への期待も高まっている現在、コスト削減だけでなく医療の質の向上も同時に要求されるであろう。この様な流れのなかで最重要項目への適切な介入を予め明示することにより早期の介入開始を可能とし、限られた資源・スタッフ、決められた在院日数のなかで、医療の質の向上、治療の継続、患者・スタッフの満足感を得るパスは今や必須のものである。包括化は糖尿病診療に関していえば、今まで検査などでしか認められていなかった点数体系に対して、教育などのコメディカルの指導が点数として包括して認められる様になったと考えられる。しかし、将来、この包括点数が下げられるのは必須であり、教育などのコメディカルの指導にどの位の時間と労力を割いているのかの記録もパス上に残すべきであると考えている。今回はまだ過度期ではあるが、包括化される前後の教育入院カルテから、検査の増減、パスの達成度などに関して比較検討する予定である。また、外来(200症未満病院および診療所)ではすでに糖尿病の総合的な指導及び治療管理が生活習慣病指導料として包括化可能であるが、外来で行われているパスについても紹介する。米国の例をみるまでもなく、包括化の中でコストの削減のみならず、医療の質を向上させなかった施設は淘汰されている。クリティカルパスがその中から生まれてきたことを考え、今回の検証としたい。