糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: DS-2-2
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シンポジウム:糖尿病血管合併症の分子機構と新たな治療法の開発を目指して
網膜症-2:新しい治療標的分子
*鈴間 潔
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キーワード: 糖尿病網膜症
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抄録
糖尿病網膜症は成人の失明原因として主要な割合を占めており、その病態解明・治療法の確立が非常に重要な問題となっている。視力障害の原因としては新生血管緑内障と並んで血管透過性の亢進による網膜浮腫が最も重要な病態である。近年血管内皮増殖因子(VEGF)やAngiopoietin等の血管をtarget organとする増殖因子が網膜血管新生や血管透過性を制御していることが次第に明らかとなり、多くの研究者が眼内増殖因子に着目した研究に取り組んでいる。しかし血管細胞が常に接触している血圧というmechanicalな因子に着目している研究者はまだ少ない。例えば高血圧が糖尿病網膜症のrisk factorであることはよく知られているがそのメカニズムはほとんど研究されていない。高血圧は血管内圧によって、血管壁を構成する血管細胞が周期的に過剰伸展(stretch)される状態ととらえることが出来るため、我々はmechanicalな刺激がdirectに細胞に与える影響を検討した。我々の最近の研究から高血圧によりVEGFとそのレセプターシステムの働きが亢進し糖尿病網膜症が増悪する可能性が示唆された(Suzuma I, Diabetes. 2001;50:444)。しかし糖尿病網膜症の発症機序のすべてがVEGFによって説明されているわけではなく特に初期の網膜症の成因には不明の点が多い。網膜血管周皮細胞は糖尿病網膜症の初期に脱落を起こすと報告されているが最近我々はmechanical stretchが細胞内酸化ストレスの増加を介して周皮細胞アポトーシスを誘導することを見出した。本研究ではmechanical stretchという一見非特異的な刺激が細胞内で働く個々のシグナル伝達にどのように関係してくるか、さらに糖尿病網膜症の分子メカニズムにどのように影響するかを検討した。これまでにはほとんど理解されていなかった高血圧網膜症の分子メカニズム解明にも大きく貢献できると考えている。
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© 2005 日本糖尿病学会
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