糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: AL-8
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レクチャー:糖尿病専門医に必要な心血管疾患の診断に関する検査
易血栓性を把握できる凝血分子マーカー
*北島 勲
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抄録
糖尿病における血栓症の病因として血管内皮細胞(EC)機能障害が重要である。ECは本来“抗血栓”であるが活性化ECは“向血栓”を示す。トロンビンのトロンボモジュリン(TM)結合部位は活性中心外側にあり、この部位はTRの結合部位でもある。相反する作用がEC上で競合することで説明ができる。非活性化EC上ではTMは5万分子、TRは数千分子存在する。しかし、高血糖下や糖化蛋白、変性脂質によりECが活性化されると、TMはEC上から減少しTR発現が上昇、さらに転写因子NF-kappaB活性化を介した組織因子発現が生じ、糖尿病の易血栓性の病因となる。凝固分子マーカーとして、トロンビン・アンチトロンビン複合体、プロトロンビンフラグメント1+2、フィブリノペプタイドA(FPA)、D_-_ダイマーなどが利用されている。しかし、いずれも急性期に生成される血栓量を直接反映している訳ではない。安定化フィブリン形成にはトロンビンの作用でフィブリノゲン(Fbg)からFPAやFPBが遊離し、フィブリンモノマー(FM)が生成される。FMはそれ自体が重合した複合体(FMC)やFbgと結合した可溶性フィブリン(SF)として血液中を循環している。このFMC/SFはトロンビン活性化状態の反映とその存在が直接血栓形成の材料となるため、その定量測定は血栓症急性期の病態把握に有用になると注目されている。 われわれは、東海大学循環器内科後藤信哉博士との共同研究により、コラーゲン膜上にメパクリン標識血小板を流し、ex-vivoにおける微小血小板血栓の初期段階を解析するシステムを構築した。PE標識抗FMC抗体を反応させると血小板血栓形成初期に活性化血小板表面にSFMCが存在することを明らかにした。さらに、In vitroおよび乖離臨床検体の解析により、SFは血栓形成の超初期段階、SMCは血栓形成から線溶開始時期を反映していることを見出したのでそのSMCとSFの使い分けによる臨床的有用性について紹介したい。また、最近、貝原らは赤血球に存在する凝固第IX因子活性化酵素がX因子を活性化し、赤血球膜を足場にしたトロンビン産生機序を報告している。とくに糖尿病患者では血液凝固時間の短縮とともに第IX因子活性亢進を認め、糖尿病の易血栓性の評価に有用であるとしているので併せて紹介したい。以上、本講演では、糖尿病の易血栓性をいかに凝血学的に検査できるか議論してみたい。
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© 2005 日本糖尿病学会
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