糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: AS-2-4
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シンポジウム:心血管疾患の進展阻止を目指して:適切な治療法選択のポイント
抗血栓療法
*丸山 征郎
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抄録
1)on demand 型反応としての止血系:血管破綻は重篤な結果を招来するため、ヒトの身体は巧妙な止血システムを具備している。この止血反応は【凝固系】と【血小板系】によって営まれているが、この2つの系は互いに増幅しあいながら、血管破綻というイベントに緊急に応答し、まずは【止血】し、そのあと血栓を【トリミング】し、そしてその損傷部位を【修復】する。すなわち止血系は、一連の時間的スペクトラムを持った生体反応であり、これが作動するのは血管破綻の時のみに、"on demand方式"で反応する。2)ボトムアップ式の止血系: "on demand型"反応をするために、止血のコマンドは、末梢循環をくまなく巡っているセンサー役因子が出す。たとえば外因系のイニシエーター;_VII_因子は、内皮(_-_)のところに発現している組織因子と複合体を形成し、外因系をスイッチオンする。また最小の細胞である血小板は、最も血管の縁を流れることを強いられているが、それは内皮細胞が剥離し、コラーゲンが露呈されると、直ちにこれに粘着できるという知恵につながる。血小板もまたセンサー細胞なのである。このように止血系は指揮者のいるオーケストラ方式ではなく、室内楽的様式で応答する。3)糖尿病における止血系の複合異常とその対策:このように、ヒトの止血系は、血管破綻の部位(すなわち血管の無いところ)でのみ作動するようになっているが、さらに、血管内皮細胞はPGIや、NO、トロンボモデュリン(TM)などを発現し、もっと積極的に止血反応を制御している。逆にいうと、この血管内皮細胞による止血制御能が破綻すると、上記の「止血」、「血栓トリミング」、「修復」の全てのステップに異常を来たし、血栓傾向となる。その代表的疾患が糖尿病であるが、さらに糖尿病では、内皮機能不全にともなう二次的な止血異常に加えて、糖代謝異常そのものに伴う止血系の偏奇もあり、したがって、糖尿病患者の血栓予防には、糖代謝コントロールに加えて、内皮機能、凝血機能、動脈硬化、脂質異常、高血圧などを総合的に評価し、抗血小板剤、抗凝固剤など中心に複合的、重層的に対応することが重要である。
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© 2005 日本糖尿病学会
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