糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: AS-2-5
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シンポジウム:心血管疾患の進展阻止を目指して:適切な治療法選択のポイント
抗肥満療法
*中村 正
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抄録
近年、心血管疾患の発症・進展において、高血圧、耐糖能障害、高脂血症などの危険因子が集積する病態、いわゆるメタボリック症候群が注目されている。その成因基盤として、脂肪組織の過剰蓄積である肥満の存在が重要であり、特に腹腔内内臓脂肪の蓄積が密接に関与することが明らかとなっている。従って、抗肥満療法による減量、内臓脂肪量の軽減は、リスクの集積状態を根もとから一気に改善させる効果があり、適切な抗肥満療法の選択が心血管疾患の予防上きわめて重要な課題である。本シンポジウムでは、抗肥満療法としての減食療法、運動療法、薬物療法の考え方や選択時のポイントにつき解説する。 まず、減食療法では、低エネルギー食(1200から1800kcal/day)を個々の体格や活動性を目安として設定する。現体重の5から10%の体重減少を3ヶ月から半年間かけて行う、緩やかな体重減少(modest weight loss)を目標とする。わが国のメタボリック症候群患者では、BMIが30を超える高度肥満者は少なく軽度の肥満がほとんどであり、5%程度の減量が達成されリバウンドなく維持できれば充分代謝異常の改善が期待できる。その際、特に内臓脂肪量の軽減が重要であり、推定簡易指標であるウエスト径の変化に注目する必要がある。 次に、運動療法については、運動が特に内臓脂肪の軽減に有用であることを認識した上で、減食療法に併用して継続して行うことが重要である。有酸素運動を生活サイクルの中でいかに習慣づけるかが重要な鍵となる。しかし、すでに心血管疾患を合併している例では、専門医による事前の十分な心機能評価が必要である。 抗肥満療法における薬物療法の位置づけとして、常に減量中の確実な効果と減量後の体重維持を目的とした、あくまでも補助療法であることを認識すべきである。日本肥満学会では、現在、抗肥満薬の適用基準の策定を行っており、BMI≧25でかつ内臓脂肪面積≧100cm2、さらに肥満に関連する健康障害を2つ以上合併する例で、減食・運動療法を3から6ヶ月間行い、5%以上の体重減少効果が得られないものを適用とみなすことが推奨されている。
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© 2005 日本糖尿病学会
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