2012 年 37 巻 p. 57-71
本稿の目的は里親制度・里親養育という対象を家族社会学の議論に位置づけ、論点を抽出・整理することにある。本稿は里親養育において当事者に生じる課題を、生活上の家族、法律上の家族、規範としての家族が乖離することによって生じる課題として捉え、それらをシンポジストの発表から、①家族関係のマネジメント、②アイデンティティのマネジメント、③マネジメント負荷を軽減する仕組み、という3点に整理した。 さらに、これらを「家族の多様化」「子どものケアの社会化」という家族社会学の論点から横断的に考察し、家族社会学がこれから取り組むべき課題として、①「標準的家族」が「非標準的家族」に与える影響をフェーズ(家族内の役割と地位、場面、家族のライフサイクル)ごとに分節化して明らかにすること、②ケアの受け手である里子とケアの与え手である里親との関係性を、里親の「親」としての意識との関連性から明らかにすること、の2点を提示した。