2024 年 49 巻 p. 37-53
本稿では市場経済期に生まれた一人娘を研究対象とし、彼女たちが捉えた母親、すなわち計画経済期の女性の結婚について考察した。その結果、以下3 点を指摘することができる。まず結婚の形式からみれば、母娘の間に違いが見られるものの、両者は共に自分と似たような年齢、学歴、民族、戸籍の男性と結婚しており、同類婚の志向を持っている。また配偶者選択の条件については、母娘はそれぞれの時代背景に影響を受けているが、共通項として、母娘は共に男性の人柄、外見、職業の安定性を重視している。最後に夫婦関係においては、娘にとって母親は現実的な条件とともに愛情表現という情緒的な側面も重視しており、娘夫婦にも通じる夫婦関係を有している。このように母親の結婚観に対する一人娘の捉え方を通して、中国の計画経済期における女性の結婚と市場経済期における女性の結婚には先行研究が強調してきた相違点だけではなく、共通点を持つことが確認できた。