家族研究年報
Online ISSN : 2189-0935
Print ISSN : 0289-7415
ISSN-L : 0289-7415
投稿論文
親の教育期待および教育投資が追加出生に与える影響
―21世紀出生児縦断調査データを用いた検討―
藤間 公太北村 友宏竹ノ下 弘久陳 テイテイ
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 49 巻 p. 55-72

詳細
抄録

    日本においては、主に人口学の領域で、個人が複数の子どもを持つ背景について検討されてきた。たとえば第3子出生に影響を与える要因として、子どもの性別に関する選好、男性の育児参加度、三世代同居をしていることなどが指摘されている。しかしながら、既往出生児に対する親の教育期待および教育投資が追加出生に与える影響について、出生タイミングを考慮に入れた検討は十分にはなされてこなかった。本稿では、「21世紀出生児縦断調査」の第1回から第15回の個票データを用いてこの課題に取り組む。分析結果は次の通りである。第1に、親の教育期待の高さは、第2子出生、第3出生のいずれに対しても有意な負の効果を示した。第2 に、子どもへの教育投資の多さも、追加出生に有意な負の効果を示した。この結果は、教育期待や教育投資の階層差が子どもの数に影響すること、階層維持戦略をめぐる階層差が存在することを示唆する。

著者関連情報
© 2024 家族問題研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top