2024 年 49 巻 p. 73-90
本稿では、共働きの未就学児を持つ高学歴女性を対象にしたインタビュー調査を通じ、女性が食事作りの役割を担う過程を分析し考察した。食事作りの主担当者となった女性たちは,短時間勤務制度の利用を選択する際に、出産後も就業を継続したいのであれば、短時間勤務制度を選択せざるを得ないという状況を定義していた。この判断には、母親が育児休業の後に短時間勤務制度を利用するという職場の慣行の影響がみられた。職場の「子育ては女性がやるもの」という慣習に影響を受け、女性たちは育児責任意識から短時間勤務制度を利用した結果、育児だけでなく食事作りにおいても主担当者となる様子が見いだされた。