地球科学
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静岡県榛原郡地域の相良層群と掛川層群の浮遊性有孔虫生層序
柴 正博惣塚 潤一山田 剛東元 正志菊池 正行小坂 武弘
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1997 年 51 巻 4 号 p. 263-278

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抄録

静岡県榛原郡地域には新第三系の相良層群と掛川層群が分布する.これらの地層は日本の太平洋岸の新第三系の模式層として多くの研究者によって層序学的と古生物学的に研究されてきたにもかかわらず,いくつかの異なった生層序学的な見解がある.本研究では,柴はか(1996)の層序にもとづき,相良層群と掛川層群の浮遊性有孔虫化石による生層序層準の検討を行った. その結果によると,相良層群は下位からGloboquadrina dehiscens帯,Globigerinoides kennetti帯,Neoglobo-quadrina pachyderma帯,Globorotalia conomiozea帯の4つの帯に分けられ,掛川層群は下位からGloborotalia tumida tumida帯,Globorotalia puncticulata帯の2つの帯に分けられる.この地域の浮遊性有孔虫群集は北太平洋の遷移帯群集と類似し,それと対比すると,相良層群はBlowの帯区分のN16とN17(後期中新世)に,掛川層群はN18とN19(鮮新世)に相当する. 地層の分布や生層序区分の結果から,相良層群は北部で最上部層が欠如し,掛川層群は海進にともない北部地域では削剥された相良層群に対してオンラップし,南部ではダウンラップして堆積したと考えられる.

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© 1997 地学団体研究会
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