地球科学
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OD-5ボーリングコアにおける大阪平野地下の更新統火山灰層序
石井 陽子
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2002 年 56 巻 6 号 p. 359-373

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抄録

ODシリーズと呼ばれる9本の深層ボーリングが,1960年代に大阪平野の地盤沈下対策のために掘削された.その研究成果によって大阪平野地下の鮮新・更新統の概要が明らかにされたが,火山灰分析が行われたものはOD-2コアのみ(吉川ほか1987)であり,丘陵部で確立された大阪層群(鮮新・更新統)の火山灰層序との対比は困難な状況であった.本研究で使用したOD-5コアは尼崎市戸ノ内で掘削され全長702mに及び,数多くの火山灰層が挟在されているが,火山灰分析は行われていなかった.OD-5コアの火山灰層序を確立することで,大阪平野地下における地質層序の精度の向上に貢献することができる.OD-5コアの掘削位置は大阪地域と神戸地域の接点にもなり,両地域の層序の対比を行う上で重要な位置にあたる.本研究では15層準の火山灰層から得られた17試料の粒度組成,鉱物組成,火山ガラスの形状と屈折率,重鉱物組成を明らかにした.その結果,大阪層群のイエロー火山灰層,ピンク火山灰層,光明池II・III火山灰層,山田II・III火山灰層,アズキ火山灰層,盆ノ池火山灰層,鳴尾浜IV火山灰層を見いだすことができた.また,火山灰層序を用いて21層準の海成粘土層の対比を行った.さらに深層コア間のみで対比可能な未命名火山灰層が存在することが示唆された.本研究の成果によって大阪層群の火山灰層序の精度を向上させるきっかけを得ることができた.

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© 2002 地学団体研究会
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