地球科学
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ピート層中に認められる液状化構造 ―関越地域における事例―
大塚 富男
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2003 年 57 巻 1-2 号 p. 73-82

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抄録

ピート層中に認められる古い液状化の跡を,群馬県高崎市と同県板倉町および新潟県越後川口町の3 地点で観察し,その特徴を記載した.高崎市のものは,浅問火山起源の軽石1層が後期更新統の前橋泥炭層中で液状化したもので,側方への層厚変化が激しく,火炎状に吹き上がる特徴的な形態を示す,この液状化の時期は,軽石層の降下 年代とビート層の堆積年代から,約1.6万年前であると結論される.板倉町の液状化跡は,完新世のピート層と砂層の互層部分で覯察される.そこでは液状化による砂層の側方への流動によって,クサビ構造やボール構造の形成を読み取ることができる.さらに越後川口町の液状化も.後期更新統の河成段丘堆積物のピート層中で認められ,液状化した砂層がダイナミックに側方へ流動している構造が観察された.いずれのケースでも明確な液状化物質の貫入吹き上げや明瞭な砂脈は形成されず,またピ一ト層は液状化物質の流動に伴って大きく変形し,全体としてカオティックな構造を示す.ここでは.液状化の原因を特定することはできないが,古地震による可能性が高い.

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© 2003 地学団体研究会
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