地球科学
Online ISSN : 2189-7212
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深発地震の震源分布と階層構造 : 日本列島およびその周辺地域を例にして(<特集>島弧の深部構造-地質・地震・地震波トモグラフィによる解析(I))
足立 久男赤松 陽鈴木 尉元島弧深部構造研究グループ
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2009 年 63 巻 4 号 p. 227-238

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抄録

筆者らは,気象庁2006年刊行の地震年報の中で,解析方法が新しくなった1983年から2005年までの資料をもとに日本列島付近の震源がどのように分布するかを改めて検討した.そして,震源の空間的な分布を明らかにするために,地震の分布する空間の下底の等深線を描いた.その中で,直線状あるいは弧状に走る等深線が直交ないし斜交する方向の不連続線によって切られた,数10kmから数100kmの拡がりをもついくつもの単元を識別できることを指摘した.Wadati-Benioff面とよばれるものの実態は,地塊構造を暗示させる垂直に近い面によって境された,いくつものより小さな単元にわかれることをあきらかにし,島弧深部構造研究グループ(2009)として公表した.この成果の上に立って,本論文では,地震単元を階層構造という視点で整理した.震源分布をもとに,等深度線を作成し整理すると,大小いくつかの地震単元に区分することができる.地震単元は,地震区,地震亜区,地震域,地震胞という大きな単元から小さな単元に区分することができ,階層構造をもっているといえる.複数の地震胞が集合して地震域を構成し,また,いくつかの地震域が集合して地震区や地震亜区を構成している.

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© 2009 地学団体研究会
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