地球科学
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北部フォッサマグナ信濃川地震帯周辺の震源分布と構造規制(<特集>島弧の深部構造-地質・地震・地震波トモグラフィによる解析(I))
久保田 喜裕小林 和宏飯川 健勝島弧深部構造研究グループ
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2009 年 63 巻 4 号 p. 211-226

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抄録

北部フォッサマグナ信越地域を流下する千曲川〜信濃川流域は,かってより被害地震が多発している地域で,信濃川地震帯と呼ばれている.この地域における地震発生場の特徴を地質構造との関係から検討した.結論は以下のとおりである.(1)信濃川地震帯は,長野盆地,飯山盆地,十日町盆地,越後平野がつくる負の低重力異常域が,NE-SW方向に連鎖配列するグラーベン状構造を呈している.(2)発震機構解から推定される震源断層は,深度40km以浅では,高角逆断層タイプ,低地帯縁に調和的なNE-SW走向,傾斜は両縁とも低地側傾斜(山側フェルゲンツ)が多い.100km以深では,断層の走向はそれ以浅とほぼ同じであるが,高角正断層タイプのSE傾斜が多くなる.この現象はとくに越後平野で顕著である.(3)浅発地震(深度100km未満)は,深度20km以浅の上部地殻に集中しており,深度40〜100kmでは太平洋側に集中し,信濃川地震帯周辺では極限られる.地震発生場は先新第三系基盤山塊の縁辺部や低地帯周縁の重力基盤リッジ〜斜面など重力の急変化部に集中している.(4)深発地震(深度100km以深)は,太平洋側から日本海側へ深度を増すが,その下底面深度には著しい高低差がある.それは基盤分布域や隣接する第四紀火山で浅く,グリーンタフ分布域で深くなっている.信濃川地震帯は深度160〜200kmの等深包絡線に挟まれる部位に位置している.

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© 2009 地学団体研究会
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