地球科学
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原著論文
静岡県の中新統,倉真層群と西郷層群の層序と堆積過程
柴 正博横山 謙二大橋 泰知森住 誠前川 恒輝近藤 匡荻 修吾
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2020 年 74 巻 4 号 p. 137-155

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抄録

静岡県掛川市北部地域に分布する下部~中部中新統は,不整合によって下位から倉真層群と西郷層群に区分される.倉真層群は下位から東道層,天方層,戸綿層,松葉層,真砂層からなり,西郷層群は下位から戸沢層と五明層からなる.倉真層群はBlow(1969)のN6~N8 帯に相当し,西郷層群はN8 帯に相当する.したがって,倉真層群の地質年代は前期中新世後期に,西郷層群は中期中新世初期に当たる.

前期中新世後期に,倉真向斜軸部で沈降が開始し,そこに第1のチャネル・レヴィー複合体が発達して東道層が堆積した.その後の相対的海水準の上昇にともなって堆積域が南東側と北西側に広がり,基盤を不整合に覆って天方層が内側陸棚に堆積し,戸綿層が外側陸棚から陸棚斜面に堆積した.その後,倉真向斜軸部に沿った海盆底に第2 のチャネル・レヴィー複合体が発達し,松葉層の海底扇状地堆積物が形成した.それにつづいて,外側陸棚から陸棚斜面環境に真砂層が堆積した.西郷層群の堆積期には,倉真向斜の南東翼と北西翼が隆起して急傾斜面が形成された.その倉真層群の急傾斜な陸棚斜面を不整合に覆って西郷層群が堆積した.そこには海底地すべりにより形成された土石流堆積物と火山砕屑物からなる戸沢層が,そしてその後に,陸棚斜面に堆積した泥質堆積物からなる五明層が堆積した.

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