2013 年 24 巻 3 号 p. 3-14
本稿の主な目的は,東アジアの主要5 ヵ国(経済)の製造業におけるエネルギーコストおよびその他の主要なコストの役割を検証することである。つまり,エネルギーおよびその他の環境関連コストの重要性が,国別,産業別でどのように異なっているのかを実証するという問題意識のもとに分析したものである。最終的には,エネルギーおよびその他の環境関連コストが,この地域で操業する多国籍企業の立地選択にどのような影響を与えるのかを明らかにすること が目的である。 本稿では,まず,エネルギーおよび環境関連コストをどのように考えるのか,先行研究を紹介しながら議論をする(第2 節)。次に,本稿で用いたデータを簡単に説明し(第3 節),日本,韓国,マレーシア,タイ,インドネシアにおけるエネルギーおよびその他のコストのシェアの比較(第4 節),東南アジア3 ヵ国で操業する多国籍企業と地元工場におけるエネルギーおよびその他のコストのシェアの比較を行う(第5 節)。最終節では結論を述べる。