東アジアへの視点
Online ISSN : 1348-091X
連載:ギラヴァンツは北九州に何をもたらすのか−第8回− ギラヴァンツ北九州に対する市民意識
南 博
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2013 年 24 巻 3 号 p. 71-74

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抄録

この2013年9月号の原稿の締切日は,発行の約3 ヵ月前の6月中旬だ。おそらく発行される頃には,ギラヴァンツ北九州に関連する1つの大きな動きが,一定の決着を迎えているものと思われる。その動きとは,本連載の第4回などで取り上げた「北九州市の(仮称)新球技場整備事業」である。当該事業についての2段階目の「北九州市公共事業評価に関する検討会議」が2013年2~4月に開催され,「事業を実施することについて,全ての構成員が異論なし」との結論となった。その結論を踏まえて,北九州市では公共事業評価の結果等に対する市民意見募集を2013年5月下旬まで実施し,294人から572件の意見が出されたところである。筆者は2013年6月3日に開催された北九州市議会総務財政委員会を傍聴したが,そこでも当該事業について活発な質疑が行われた。市執行部は,市民意見募集結果と市議会6月定例会での質疑を踏まえ,6月定例会後に市長が意見表明を行うと説明している。2016年度末の供用開始というスケジュールを見据えると,この原稿が発行される頃には意見表明が済んでいる可能性が高いと筆者は考える。はた して,どのような結論だろうか。この件については,結論を踏まえて改めて本連載の中で取り上げていきたい。  一方,同様に気がかりなのはギラヴァンツ北九州の戦績と集客状況だ。6月8日時点で,今季リーグ戦全42試合中18試合を終え,戦績は22クラブ中20位。1試合当たり平均入場者数は最下位に沈んでいる。しかしながら,戦績面では主力のFW池元友樹選手(北九州市出身)らがケガから復帰して以降,明らかにチーム状態は上向きであり,柱谷監督の戦術もチームに浸透してきた感がある。今後,勝点を重ねていってもらいたい。また,集客面でも,J リーグ屈指の名門クラブ・ガンバ大阪を迎えた6月8日には7,207人が北九州市立本城陸上競技場に集まり,体感的には満席に近い状態となった。本連載の第7 回で取り上げたようにサポーター有志による地道な集客活動も続いており,また,選手による小学校訪問などの事業も進んでいる。今後,こうした活動の成果が実を結んでくることを期待したい。  ただ,その集客に関して,今年3 月に筆者が実施した市民意識調査においては気になる点もみられた。今回はその概要について紹介する。

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© 2013 公益財団法人 アジア成長研究所
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