抄録
今回は,本連載の第4回で行った福岡県内市町村における県内格差の現状分析をもとに(『東アジアへの視点』2013年6月号,pp.55~66),分析範囲を九州7 県(沖縄県を除く)と山口県の8県に拡張し,前回と同様の方法で所得と生産性および産業構造の分析を行った。
今回使用するデータは,九州7県および山口県の市民経済計算年報で,「市町村民所得」,「市町村内総生産額」,「経済活動別市町村内総生産額」の3指標を使用した。収集期間は2001 年度(H13年度)から2009 年度(H21年度)までの9年間の時系列(名目値)で(注1),市町村数は252である(付表1)。
対象県を複数にした場合,県ごとで必ずしも同質のデータが入手できるわけではない。今回も例外ではなく,今回の分析に必要な「人口1人当たり市町村民所得」,「就業者1人当たり総生産額」のデータがいくつかの県で作成(公表)されていない。このため,今回は,平成12年,17年,22年の国勢調査人口および国勢調査就業人口(注2)から調査年と調査年との間を伸び率で補完する形で人口と就業者データを作成し,これを用いて「人口1人当たり市町村民所得」,「就業者1人当たり市町村内総生産額」を算出している。
また,県によって,データを遡及改定している県や,遡及改定をしていない県(年度公表値)が存在するが,ここでは,現時点で収集可能な数値を採用している(注3)。